1 日3 回歯磨きしているのに虫歯になりやすい人と、1 日1 回しか磨いていないのに虫歯になり
にくい人がいます。
実は「歯磨きをきちんとしていれば虫歯にならない」というわけではないのです。
なぜ虫歯になるの？
虫歯になるには3 つの条件があります。
❖ 細菌
❖ 歯の質
❖ 糖
「細菌・歯の質・糖」に時間が経過することで、虫歯となります。
虫歯菌が食べかすの中に含まれる糖を栄養にして歯垢（プラーク）を作り出し、酸を出します。
この酸によって歯が溶かされてしまうことで虫歯が発生します。
細菌
虫歯の原因となる「ミュータンス菌」が代表的な虫歯菌です。
ミュータンス菌は生まれたばかりの赤ちゃんには存在しませんが、3 歳までの期間に、主に母親
を介して感染すると言われています。
ミュータンス菌は、一度棲み着いてしまうとお口の中から追い出すことはできません。
虫歯菌の数が多いほど、虫歯になりやすいと言えます。
歯の質
虫歯になりやすい歯は酸に溶けやすいです。
また、唾液の量や質も関係しています。
食事をすると、口腔内が酸性に傾き、歯が溶ける脱灰（だっかい）が起こります。
そして唾液の力で中和され、再石灰化によって修復されます。
唾液の量が少なく、再石灰化の力が弱いと歯が溶けやすくなってしまいます。
糖
甘いものや砂糖は虫歯菌のエサになります。
あまり甘さを感じない食べ物でも、意外にも糖は含まれています。
虫歯になりやすい口腔内環境
「歯磨きの回数が少なく、プラークが停滞している時間が長い」といったこと以外に、虫歯にな
りやすい口腔内環境にはどんなものがあるのでしょうか。
口腔内が乾燥している
唾液には抗菌作用や、口腔内の酸を中和する作用があります。
唾液の量が少ないと、この中和する作用が弱まり歯が溶けやすくなるのです。
マッサージや水分補給をすることで、唾液の分泌を促す効果が期待できます。
詰め物や被せ物の劣化
詰め物や被せ物が古くなりすき間ができると、そこから細菌が入り込んで虫歯が再発します。
大きなすき間であれば食べ物がよく詰まるなどの症状がありますが、小さなすき間の場合は自分
では気がつきにくいです。
歯並びの乱れ
歯並びが乱れていると、歯と歯の間や段差に食べかすやプラークが溜まりやすくなります。
歯ブラシが届かずセルフケアが難しくなり、虫歯のリスクが高まるのです。
歯列矯正をすることで歯並びの乱れを改善できます。
虫歯になりにくくするには
できるだけ虫歯になりにくくするためには、しっかりと歯磨きをすること以外にも方法がありま
す。
フッ素の使用
フッ素は、歯を強くして酸に溶けにくくします。
フッ素入りの歯磨き粉や洗口液を日常的に使用するのが効果的です。
また、歯科医院で定期的に高濃度のフッ素を塗布することをおすすめします。
歯と歯の間のケア
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の虫歯を予防することはできません。
フロスや歯間ブラシを使って、歯と歯の間のプラークも取り除きましょう。
間食の時間を決める
間食が多く、甘いものや砂糖の入った飲み物などが習慣になっている方は注意が必要です。
食事の回数が多いほど口腔内が酸性に傾き歯が溶けやすくなるため、おやつなどの間食の時間を
決めることが重要となります。
虫歯になりにくいから安心ではない？！
「虫歯になったことがないから歯医者に行かない」という方も注意が必要です。
虫歯の菌が少ないことが虫歯になりにくい理由の一つではありますが、虫歯菌が少ない方は反対
に歯周病の菌が多いといった傾向があります。
歯周病は年齢を重ねるとリスクが高まり、自覚症状が出にくいのです。
気がついた時には「虫歯は一本もないのに、歯周病で歯を抜かなければならなくなった」といっ
た場合もあります。
虫歯がないからと安心せずに、定期的に歯科医院で虫歯と歯周病のチェックを受けることをおす
すめします。
