「歯は抜かない方が良い」といわれているにもかかわらず「親知らずは抜いた方が良い」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
今回は親知らずとは何なのか、親知らずを抜く理由について解説します。
親知らずとは
親知らずとは、前から数えて8 番目の一番奥にある歯です。
7番目の歯である第二大臼歯の隣にあることから、正式名称は「第三大臼歯」といいます。
通常、大人の歯である永久歯は
15 歳前後で生え揃いますが、親知らずは 10 代後半から 20 代くらいに生え始めます。
昔の人は寿命が短く、子どもの第三大臼歯は親が知ることなく生える歯でした。
これが「親知らず」と呼ばれるようになった由来です。
英語ではWisdoom Tooth (賢さ、知恵)といい「智歯」とも呼ばれます。
親知らずは上下4 本ありますが、生まれつきない場合や(先天欠如)一生生えずに埋まっている場合(埋伏歯)もあります。
親知らずを抜く理由
親知らずはまっすぐ生えていて、しっかりと噛み合っている健康な状態であれば抜く必要はありません。
大昔は硬いものを多く噛む必要があり、顎が発達していました。
現在では人類の進化で顎が小さくなってきているため、親知らずが生えるスペースが狭くなっています。
そのために親知らずによるさまざまなトラブルが起きやすくなっています。
虫歯や歯周病
親知らずは一番奥にある歯のため、まっすぐ生えていても歯ブラシが届きにくく、磨き残しのしやすい場所です。
そのため虫歯や歯周病になりやすく、生え方によっては器具が入らずに治療が困難な場合もあります。
さらに親知らずが虫歯や歯周病になってしまった場合は、隣の第二大臼歯にも影響があります。
智歯周囲炎
親知らずの周りに細菌が溜まり、歯肉に炎症を起こしたものを智歯周囲炎といいます。
親知らずが中途半端に生えている場合に多く、歯肉の腫れや強い痛みが症状の特徴です。
ひどくなると口を開けるのも困難となります。
親知らずの周りの食べかすや細菌を洗い流し、うがい薬や抗生物質を服用することで数日で落ち着きますが、親知らずを抜かない限り多くは再発します。
このように他の歯にも影響を及ぼす場合や、日常生活にも支障が出るような場合には抜歯を検討します。
親知らずを抜くリスク
親知らずを抜くにあたってのリスクについて解説します。
上の親知らずの場合
上の親知らずの近くには、上顎洞という鼻の空洞があります。
親知らずを抜いた後に上顎洞と交通してしまうと、飲んだ水や空気が鼻に回ってしまうのです。
穴の大きさにもよりますが、多くは自然治癒します。
下の親知らずの場合
下の親知らずの近くには、下歯槽神経という太い神経があります。
抜く際にこの下歯槽神経を傷つけてしまわないように注意しなければなりません。
万が一神経に触れたり圧迫してしまったりした場合、舌などに麻痺や痺れが起こる可能性があります。
歯を抜いた後の注意事項
親知らずに限らず、歯を抜いた後に特に気をつけなければならないことがあります。
• 血流が良くなることを避ける血流が良くなることを避ける
• 強いうがいをしない強いうがいをしない
• 処方された薬をしっかり服用する処方された薬をしっかり服用する
血流が良くなることで血が止まりにくくなりますので、飲酒や運動、お風呂に長く入ることは避けましょう。
また、強くうがいをしてしまうと抜いた後のかさぶたが取れてしまい、傷が治りにくくなります。
薬は痛み止めと抗生物質が処方されます。
痛み止めは痛みがなければ服用しなくても大丈夫ですが、抗生物質はしっかりと飲み切るようにしましょう。
歯科医院で検査をすることで親知らずが何本あるか、虫歯や歯周病になっていないかがわかります。
トラブルが起きる前に親知らずを抜くことも可能ですので、一度歯科医師にご相談ください。