前回、歯ぎしりはお口の中や身体にとってとても悪影響を及ぼすものなのでほっといてはいけないと書きました。
実は寝てる間無意識のうちにしている歯ぎしりは、普段食事で噛み合わせているときの何十倍もの強い力がかかってしまっています。
しかも日中に上下の歯が噛み合っている時間というのは、食事中噛んでいる時だけで、それ以外の時間は噛み合っていないのが正常な状態です。
1日を通しても数分程度となります。
それを考えると、長い時間にわたってものすごく強い力で噛み合っているということは、身体にとってとても異常な状態だということがわかると思います。
それを続けてしまっていれば、口や顎、身体にとても負担がかかってしまいますよね。
具体的な症状を紹介していくと、
まずお口の中の問題としては、強くかみ合わせることによって顎や骨に負担がかかってしまうので、顎関節症になってしまったり、歯ぎしりが原因の歯周病になってしまうことがあります。
せっかく歯磨きを頑張っているのに違う原因で歯周病になってしまうのはとてももっていないことです。
また、歯にも負担がかかってしまうので、一箇所が強く当たっているとその歯が割れてしまったり動揺してしまう、また、詰め物や被せ物が取れてしまうということもあります。
それから歯をこすり合わせることによって上下の歯のお互いを削ってしまうことになり、だんだんと歯が削れてしまう、また横からの力もかかるので歯の根元の部分が飛んでしまう(欠けてしまう)ということもあります。
それによって知覚過敏になることも少なくはありません。
また、口や顎だけでなく、全身にも影響が出てくる場合があります。
歯ぎしりをしているときは力が入っているので、肩こりや頭痛の原因となることがあります。
また、力強く噛み合わせることによって顔の筋肉がつき、顔が大きくなってしまうということもあるのです。
歯ぎしりは無意識のうちに行っているため、自分で気をつけて治すということができません。
また、原因がストレスであることが多いので、それを確実になくすというのもなかなか不可能に近いことだと思います。
そのため、一番効果的なものとしてはマウスピースを作ることです。
マウスピースを装着して寝ることによって、歯と歯の間のクッションとなってくれて歯を守ることができます。
歯が削れてしまうと元に戻すことはできないですが、マウスピースが削れてもまた何度でも作り直すことができます。
マウスピースは歯科医院で作ることができます。
基本的には型をとってその人用のものを作るため、2回の通院が必要になります。
最近では市販で歯ぎしりのためのマウスピースが売っていますが、市販のものだと自分の歯列や形に完全に合っているわけではないので、逆に噛み合わせを悪くしてしまったり、しっかり歯を保護できなかったりという問題が出てくることがあります。
そのため、できれば歯科医院で作ることをお勧めします。
他に噛み合わせが悪い場合は噛み合わせの調整や、歯並びを良くするために矯正を行うという方法もあります。
特に歯並びが悪くて矯正をする場合は、ブラッシングがしやすくなって虫歯や歯周病予防になったり、審美面も良くなるのでおすすめです。
しかし、噛み合わせの調整や歯列矯正によって歯ぎしりや食いしばりが確実になくなるというわけではないので、やはりマウスピースの併用をお勧めします。
他に薬を服用するという方法もありますが、効果があるのは薬を服用している時のみです。
長期的に見るとあまりお勧めすることはできません。
日中においては、意識することができるため、パソコン作業をしている際に気づいたら食いしばっているという方は、「食いしばり注意」などと書いた紙をパソコンに貼ったり、目印となるシールなどを貼ってそれを見たら意識するということも効果的です。
また、飲酒や喫煙を控える、疲れをなるべく残さないようにすると寝ている間の歯ぎしりも軽減できる場合があるので、心当たりのある方は気を付けましょう。
歯ぎしりや食いしばりをすることによってたくさんの弊害が出てきてしまいます。
特にお口の中の問題はとても大きく、しかも、歯が欠けたり削れてしまう、歯周病が進行してしまうと元の状態に戻すことができません。
それなので歯ぎしりや食いしばりは放っておいてはいけないことで、早いうちから予防をしていかなければならないのです。
もし、人から注意されたことがある、自分でも心当たりがあるという方はマウスピースを作ることをお勧めします。
また、舌の両脇に凸凹した後がある方は歯ぎしりによって舌を歯に押し付けている跡なので、歯ぎしりや食いしばりをしている可能性がとても高いです。
朝起きた時に顎が疲れている場合も恐らく行っているでしょう。
そんな場合は一度歯科医院で相談してみてはいかがでしょうか?
将来の自分のお口や身体のために、今から気をつけていきましょう!