歯の根にかけて通っている血管や神経がある管のことを「根管」といいます。
根管治療は、この根管に炎症や感染を起こした場合に行う治療です。
今回は、根管治療の重要性について解説します。
根管治療が必要な歯
根管治療が必要になるケースとして最も多いのが、神経にまで達した大きな虫歯です。
虫歯は進行度によってCo〜C4まで段階があります。
Co・C1はエナメル質表層の虫歯、C2は象牙質、C3は歯髄(神経)の虫歯で、C4は虫歯が大きくなったことによって歯の根しか残っていない状態です。
C2の虫歯から治療が必要となりますが、C3まで達してしまった虫歯は歯の神経に虫歯菌が感染してしまっているため、根管治療が必要です。
歯の神経に虫歯菌が感染してしまうと、何もしなくても歯がズキズキと激しく痛みます。
虫歯菌の感染を放っておくとやがて顎の骨が溶けてしまい、自然治癒することはありません。
そこで根管治療で歯の内部に感染した細菌を除去することで、痛みや腫れなどの炎症を抑えることができます。
抜髄(ばつずい)
虫歯が神経まで達してしまい、感染を起こしている場合は歯の神経が炎症を起こし、激しい痛みを伴います。
歯の神経を除去することを抜髄(ばつずい)といいます。
感染根管治療
感染根管治療とは、過去に根管治療を受けた神経のない歯が、2次虫歯などによって歯の根の中に細菌が侵入し、炎症を起こしてしまった場合に行う治療です。
また虫歯以外では、怪我などの外傷によって歯の神経が死んでしまった場合にも行われます。
根管治療の流れ
根管治療の流れは、消毒・洗浄・封鎖です。
そして最後に土台と被せ物をセットすることで、しっかりと噛めるようになります。
虫歯の除去
虫歯菌に感染した部分を取り除き、形を整えます。
根管内の洗浄・消毒
根管内をファイルと呼ばれる器具を使って神経を取り除き、薬剤で洗浄・消毒します。
根管の洗浄や消毒は、根の形状や感染の状態によって回数が多くかかる場合もあります。
根管治療中は薬を入れた後に仮の蓋をして、数日間様子を見ます。
根管充填(こんかんじゅうてん)
腫れや痛みなどの症状が落ち着き、根の中がきれいになったら根管充填をします。
根管の中に材料を隙間なく詰めて封鎖します。
土台・被せ物の製作
最終的な被せ物をするために形を整え土台を作り、被せ物を装着します。
根管治療の重要性
根管は、建物でいう基礎にあたるものです。
根管治療がしっかり行われていないと、良い材質の被せ物で修復したとしても、将来的に痛みなどの不具合が出る恐れがあります。
根管治療は歯の予後を左右する重要な治療なのです。
根管治療のデメリット
歯が脆くなる
根管には神経や血管が通っており、歯に栄養を送る役割があります。
神経があることで歯の健康を保つ事ができ、虫歯や知覚過敏などの痛みを知らせてくれます。
この神経を取ってしまうと、歯に血液や栄養が行き届かなくなり、歯が枯れ木のように脆くなってしまいます。
神経を取ってしまった歯は、健康な歯に比べて割れたり折れたりするリスクが高くなってしまい、歯の寿命が短くなってしまうのです。
治療回数がかかる
根管治療は、根管の消毒洗浄をして根管充填、土台や被せ物の型取りといった、工程が長い治療です。
根管の状態によっては消毒と洗浄で数ヶ月かかることもありますが、痛みや腫れなどの症状が落ち着いたとしても中断せず、根気強く通院する必要があります
虫歯に気がつかない
神経を取ってしまった歯は、痛みを感じません。
痛みを感じないことがメリットと捉えることもできるかもしれませんが、神経がない歯も虫歯の再発するリスクはあります。
虫歯の再発に気がつかないことで虫歯が大きくなり、抜歯が必要になる可能性もあるのです。
根管治療は、歯の予後を左右する重要な治療です。
根管治療を中断してしまうと最悪の場合、抜歯になってしまうといった可能性もあります。
仕事の都合などで治療に通えない期間があるといった場合などは、歯科医師にご相談ください。